「五里霧中」の意味・語源・由来
- 四字熟語:五里霧中
- 読み方:ごりむちゅう
意味
「五里霧中」とは、物事の様子や手がかりがつかめず、方針や見込みが立たず困ることを意味します。
まるで五里四方に立ち込めた深い霧の中にいるように、方向や判断がつかない状況を表す言葉です。
転じて、先が見えず、どうしてよいかわからない状態や、手探りで物事を進める様子を指す場合にも使われます。
語源・由来
「五里霧中」は、中国の歴史書『後漢書』の張楷伝(ちょうかいでん)に登場する故事が由来です。
後漢時代の道士である張楷は、仙術を使い、五里四方に霧を発生させて姿をくらますことができたと言われています。
この伝説が転じて、「周囲が霧に包まれて方向がわからなくなる」ことを表す四字熟語となりました。
日本に伝わる際に、霧に包まれて道が見えない様子を、人が困惑し、手探りで進む状況に例えた言葉として定着しました。
「五里霧中」の使い方(例文)
- 新しい業務を任されたが、初めての分野でまったく五里霧中の状態だ。
- 捜査は難航し、事件の真相は依然として五里霧中だった。
- 会社の方針が突然変わり、今後の戦略が五里霧中となっている。
- 五里霧中で右も左もわからなかったが、少しずつ状況が見えてきた。
- 未知の分野に挑戦するのは五里霧中のようなものだが、それが成長につながる。
注意! 間違った使い方、間違いやすい読み方
✕ 「五里夢中」(「霧」を「夢」と間違える誤用)
✕ 「ごりむちゅ」(「ごりむちゅう」が正しい)
「五里霧中」の文学作品、小説などの使用例
・・・ふっと気がついたら、そのような五里霧中の、山なのか、野原なのか、街頭なのか、それさえ何もわからない、ただ身のまわりに不愉快な殺気だけがひしひしと感じられ、とにかく、これは進まなければならぬ。一寸さきだけは、わかっている。油断なく、そろっと進・・・ 太宰治 「八十八夜」
「五里霧中」の類義語
- 暗中模索(あんちゅうもさく):手がかりがなく、手探りで物事を進めること。
- 曖昧模糊(あいまいもこ):物事がぼんやりとしてはっきりしないこと。
- 途方に暮れる(とほうにくれる):どうしてよいかわからず、困り果てること。
「五里霧中」の対義語
- 一目瞭然(いちもくりょうぜん):ひと目で物事の真相や状況がはっきりとわかること。
- 明鏡止水(めいきょうしすい):心が澄みきっていて、物事を冷静に判断できること。
- 道理明白(どうりめいはく):物事の道理がはっきりしていること。
使用上の注意点
「五里霧中」は、単に迷うことを意味するのではなく、状況がまったくわからず、方針が立たない状態を指します。
そのため、単なる軽い悩みではなく、本当に見通しが立たない場合に使用するのが適切です。
また、「五里夢中」や「五里霧々」などの誤記も多いので、正しい表記を心がけましょう。
「五里霧中」に類似した英語表現
Be at sea.
直訳: 海の上で迷っている。
意味: 何をすべきか全くわからない状態である。
Ever since the project started, I’ve been completely at sea.
(プロジェクトが始まってからというもの、完全に五里霧中の状態だ。)
Be in the fog.
直訳: 霧の中にいる。
意味: 物事がはっきりせず、混乱している状態。
I was in the fog during the whole meeting and couldn’t understand a thing.
(会議中ずっと五里霧中で、何が何だかわからなかった。)
まとめ
「五里霧中」は、物事の様子が全くつかめず、どのように進めるべきか判断できない状態を表す言葉です。
由来は『後漢書』に登場する張楷の仙術の故事であり、深い霧の中で方向を見失うことになぞらえています。
類義語には「暗中模索」や「曖昧模糊」があり、対義語には「一目瞭然」や「明鏡止水」があります。
英語では “Be at sea” や “Be in the fog” などの表現が類似の意味を持ちます。
「五里霧中」の正しい使い方を理解し、適切な場面で使えるようにしましょう。


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